「黄色潜水艦」遊びジャーナル(仮元祖1)

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♪「別れの磯千鳥」

「別れの磯千鳥」(作詞:副山たか子 作曲:フランシスコ座波)





■歌詞
1.逢うが別れの始めとは 知らぬ私じゃないけれど 切なく残るこの想い
  知っているのは 磯千鳥
2.泣いてくれるなそよ風よ 望み抱いたあの人に 晴れの笑顔がなぜ哀し
  沖のかもめの 涙声 
3.希望の船よ銅鑼の音に いとしあなたの面影を はるか彼方に消えてゆく
  青い空には 黒煙

以下つけたしby 管理人

4.咲いてすぐ散る花もあろ 咲いて実のなる花もあろ 波の上遠くながむれば
  香る命の 懐かしさ
5.風にふるえて揺らぐ恋 寄せては返す波まくら せめてあなたの面影を
  胸に刻めよ 磯千鳥

この歌も替え歌にできそうなものですが、
冒頭の一節がわがお気に入りであるために、
あえて替え歌にする気分が湧かないというわけです。
2番と3番は、「泣いてくれるな」と「いとしあなたの面影を」残して替える気分はありますが、
パロディにする方向ではないので、トライはせずじまい。
ですが、4番と5番を、これまたほとんど即興でつけておきます。

井伏鱒二が、どこかで書いていた、
「花に嵐の譬えもあるさ、さよならだけが人生だ」という一節も、
学生時代からのわがお気に入りでしたが、
ところで、この歌も、先の「可愛いスーチャン」と同様、
元国鉄のおじさんが歌っていた記憶によります。

つまり、4~5才からお馴染みの歌詞ですが、
まさか4才5才で感じ入ることはなかったが、
その後、出逢いや別れを繰り返す、その集積が、
何年かごとの時期時期に回想されるたびに、
この歌の冒頭の一節が妙に真実味を帯びて浮かぶのです。

同じような一期一会というお茶会用語がありますが、
そちらのほうは、「袖振りあうも多生(他生)の縁」と同様、
ちょいと衒学的で、私にはずーとピンとは来ない言葉です。
やはり「逢うは別れの始め」という、俗経験的流動性と、
かもしだす「ドラマ性」「記憶・回想性」が良いわけです。
そこに、意志を凌駕したサイクルがあり、
ただし、意志を先鋭化させるサイクルのダイナミズムが感じられるわけです。

バッハのフーガの趣き、と、あえて言っておきましょうかいね。
角度をがらっと変えて、梁塵秘抄的とも言いうるかもしれません。

別れ、と出逢い、については、これまた後日、何らかで。
ここでも依然、茶を濁すにとどめます。


<ハワイアンについて>
「別れの磯千鳥」をアルバムに入れて歌っているのは、風貌からは日本人ではないのだが、
国籍は日本で、ハワイ育ちの、「その筋」では「有名」な、
国際的に評価の高いサンディさんという、同時にフラダンサーでもある女性とのことであった。
ほかに、ビリー・ボーン楽団が「Misty Sea」という題名で演奏をしているとのこと。

この曲は1952年ころに日系二世のフランシスコ座波という人が作り、
副山たか子さんという人が詩をつけて、日本では近江俊郎が歌ってヒットした。
それぞれ、どういう事情であるか消息が不明となっているのだが、
第二次大戦後、まだハワイが米国植民地で第50州となっていない段階ゆえに、
それ以前、明治時代からの移民による日本とハワイ王朝の友好関係からして、
さまざまな憶測が可能である。

関西の名歌謡司会者として知られる浜村淳が、ハワイの歴史を紀行物語風に語りつつ、
毎日系のサイト「まいど!!大阪」で、この「別れの磯千鳥」にも触れているが、
これ、ほぉーっ!!という現代史の「穴」をついた内容であった。

詳細はそちらに譲るが、それから類推すると、
日本が真珠湾攻撃を行なった時点では、
ハワイ王朝はアメリカによって滅亡させられており、
(それ以前明治時代に、カラカウア王がアメリカの侵略をくいとめるために、
日本皇室との姻戚関係締結を求め、明治天皇アメリカとの関係に配慮して、
「移民支援」をするに止めたが、友好的な関係を築いていた。)
要は、ハワイは未だアメリカそのものではなく、日本人移民が多数いた状態だった。

と、なると、
奇襲による宣戦布告はともかくとして、
英クック船長による発見から、カメハメハ王朝滅亡、
最後のリリウオカラニ女王の強制退位、そのおりの多数の日系人の王朝支援の戦い、戦死、
という流れを考えると、真珠湾攻撃は単純な問題ではなく見えてくる。…

ということで、「別れの磯千鳥」の趣旨は何であったか、
ビリー・ヴォーンはその曲イメージを「Misty Sea」と受け取ったように、
まさに「霧の海」、朧な様相を呈している。ということも、
流行歌の背後には人間史の海の拡がりがあることの証しでもある。

ところで、HPのBBSをやっていたころ、
英語で俳句をやっているTakashi NONINさんという方から、
英語歌詞を教えていただいた。
ここでは、著作権があるかもを考慮して載せないが、
それによると、全部で「一番」なのだが、
日本語に翻訳すると、一番・二番となってしまう。
ちなみに、以下、(曲にあわせた、わが意訳)

(1)ひとりぽっちの海鳥だけが
海の青さの上高く 哀れな私の愛を知る
悲しく孤独な歌を知る

(2)愛は帆をあげ漕ぎ出して
海の彼方に消えてゆき 泣けども尽きぬわが涙
再びまみゆれど定めの別れ

この内容は、ラストの部分を考えると、
たしかに浜村淳が書いているなかでの可能な「類推」--強制退位・幽閉された、
ハワイ王朝最後のリリウオカラニ女王の日本へ帰った日系男性との恋、とも言える。