「黄色潜水艦」遊びジャーナル(仮元祖1)

ブログです。姉妹ブログsへのリンクはサイドバーの一番下にあります。。

昼寝の効用かもの、古文「転寝草紙」続き2

前注:「昼寝」一時間半は一晩に値するとか、ナポレオンの「馬上こっくり睡眠」とか、・・たしかに「効率」と
いう側面からは、暑い夏・寒い冬などには、「昼休み」を2-3時間、ただし、業務に支障をきたさないためには時間ずらしや交代で取って、・・ほかほか、何はともあれ、授業中に「舟を漕ぐ」予備校生徒に同情しつつも、「だから、つまらん学校でこそ寝て来い!!」と「アドバイス」した、そーゆー事実・現実からは、昼休みが最低2時間になれば、生産性は飛躍的に上がるかも。。

「転寝草紙」の2

・・・ さやかにみ給ひし昼寝の夢も、行方知らまほしく、さるは美しく、みるかひありし筆の跡も、御心にかゝりて、つくづくとながめ給ふまゝに、ほどなく暮れ行けば、大殿油まゐりて、れいの中納言の君、弁の乳母などに、碁うたせて、御覧ずれど、はかなき夢の主知らぬことのみ、その故となく、御心にかゝりておぼえ給ふぞ、我ながらあやしき心ちし給ふ。なによかよと興じたはぶるれど、いと物思はしきまゝに、ちかき御几帳ひきよせて、うたゝねなるやうに御殿篭れるかたはらに、すこしなえばめる直衣に、紅の衣かさねて、しをに色の指貫の、色もつやもなべてならぬが、かをり染みふかく、我御身まで、くゆりかゝる心ちして、いとなれ顔に、そひ臥したるに、御胸つぶれて、ふと見あげ給ふに、かのむかしがたりにきこゆる光源氏の君も、かくばかりやはとおぼゆるまで、にほひやかに、愛敬づきて、さるはしめやかに、いとあはれなるかたもたちそひて、百の媚は、げにをとこもそなへけるよと、いふはかりなくおほしさわげど、たゞ、よゝとなかるゝばかりにて、御声もたゝず。・・・

<My口語訳>
 はっきりと見なさった昼寝の夢も、その先を知りたく、一方ではみごとで、見る値打ちのあった筆跡もお心にかかって気になって、ひたすら(しみじみ)ぼんやりと物思いにふけっておられるうちにまもなく日が暮れていったので、大殿油の灯りをお点しになって、いつものように中納言、弁の乳母などに碁をうたせて、それをご覧になるが、頼りない夢の主が誰かわからないことだけが何となく気にかかって心に残りなさることは、自分でも不思議な気分がしなさる。あれやこれやと遊び興じておられるが、たいそう物思いせずにはいられない気分にまかせて、近くの几帳を引き寄せてうたたねをするようにお眠りになるその傍に、(着慣れて)少し柔らかくなっているように見える直衣に紅の着物を重ね着して、紫苑色の指貫の色艶も格別である衣装の人がいて、香の深くしみこんだその匂いが漂って自分の身にまで染みこむ気分がして、(おまけに)その人はたいそう打ち解けた表情で添い寝をしているので、御方は心乱れて不意にその顔を見上げなさると、あの昔の源氏物語で名高い光源氏の君もこれほどではないと感じられるくらいに、華やかで美しく、愛嬌があって、とはいっても物静かで落ち着いていて、たいそうしみじみとした様子も加わって、多くのなまめかしさはまことに男もそなえていたのだなぁと、言い尽くせないほど思いが乱れるが、ただよよと自然と泣けてしまうばかりでお声も立てられない。