「黄色潜水艦」遊びジャーナル(仮元祖1)

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春雨・菜種梅雨・木の芽時・・夢=現実の「転寝草紙4」

前注:ご存知、「春眠暁を覚えず」という孟浩然の漢詩は、以下でアル。(題は「春暁」)「春眠不覺暁 處處聞啼鳥 夜来風雨聲 花落知多少」。
(読み下し:春眠暁を覚えず 処処(しょしょ)啼鳥(ていちょう)を聞く 夜来(やらい)風雨の声 花落つること知るや多少(いくばく・たしょう)ぞ)。

 「My訳」としては、「春の眠りってーのは日が昇るまでぐっすりだ。目覚めてみるとすでにあちこちで小鳥がゲンキにさえずっている。眠る前の昨夜は雨風の音がしていたが、せっかく咲いていた梅の花(ニホンでは桜が合うカモ)はどれくらい散ってしまったのかも分からない。」

 ・・・てなことで、暁のみならず、「春」は「幻影」の季節であり、昼夜「白日夢」がふさわしい。。セイシュン、花ってーのは、そーゆーモンでこそ、「美しき夢」なれかし。

 ところで、清少納言は「春はあけぼの」ってーので、「理知的をかし」派で春にも「居眠り」しなかったのか・・と思えるが、・・この件はまた後日、「をかしとあはれの人間学」として。。

「転寝草紙」の4

・・・やうやうつげわたる鳥の声、ほのかにきこゆるは、こやわかれ路にうらみなれたる物ならんと、さすがに心なくきゝ給ふに、いまひときはのむつごとをだにかはしもはて給はず、物におそはるゝやうにて御覧ずれば、日たかくなりつゝ、いとうつゝの心ちもせず。われにもあらずおきあがり給ふ。
 おもふことをかならずみるは思ひ寝の夢とて、いまもむかしもあるならひなるを、かの春雨の花の下臥より、見そめ給ひし夢のはじめぞ、返すがへすおぼつかなきことなる。・・・

<My口語訳>
 さまざまに(注1)朝を告げ続けて鳴く鳥の声がかすかに聞こえる時には、これはきっと(前世からの)(男が夕刻に来て明け方出て行く)恋の別れの道に恨みなれているからだろうと(注2)、御方は何と言ってもやはり分別心なく聞きなさるけれど、今一時かぎりのむつまじい語らいをさえ最後まで交わしなさらず、物の怪にとりつかれたように(しばらく呆然としたままで過ごして)、外をご覧になると、(時が経って)日が高くなりながらも全く現実の気分もせず、意識がぼんやりしたまま起き上がりなさる。
 思うことを必ず見るのは思い寝(ね)の夢ということで、今も昔も普通によくあることだが、かの春雨の花の下での転寝から見始めなさった夢の一部始終は、つくづく気がかりなことである。
注1:ここでは「様々」としたが「漸う」でも通じないわけでもない。が、わが経験からは、ニワトリはじめ朝方にはいろんな鳥が鳴くので、「様々」がよい。
注2:この一文の訳は、一般にはこう訳されていないが、全文脈からはコレがふさわしい。

して、以上までは、以下の設問とともに、某地方大学の入試問題で出たものでアル。が、私ならば、別の設問を課すので、私が春講習で扱った授業での、クラスランク別内容・設問を、後日予定。ヤボ蛇足をしとくと、どのような水準の問題であっても、水準別に設問および解答例・採点基準を替えられるのが、プロなのでRRR。

<某地方大の設問>
問一 傍線部A「驚く」の本文中における意味を記しなさい。
問二 傍線部B「つくづくとながめ給ふまゝに、ほどなく暮れ行けば」を口語訳しなさい。
問三 傍線部C「かのむかしがたりにきこゆる光源氏の君」を主人公とする作品は『源氏物語』であるが、「昔男」を主人公とする作品を答え、さらに同時期の歌物語を一つ掲げなさい。
問四 傍線部D「ひとくだりの御かへりをだに見せ給はぬうらめしさに、かくまで参りよりぬる」を口語訳しなさい。
問五 傍線部イ、ロ、ハの助動詞の意味を簡潔に説明しなさい。
問六 問題文中に、主人公が見た二つの夢が語られているが、後の方の夢はどのような夢であったか。その内容を四〇字以内で説明しなさい。